111人が本棚に入れています
本棚に追加
卓屋部長は『後悔していない』と自分の生き方を話してくれたな。この先、やらずに悔いが残るだろうか。分からないけど、僕は1つ言える。卓屋部長みたいな生き方がしたい。
僕が断れば卓屋部長は残念に思うだろう。
これだけ良くしてくれた上司に恥はかかせられない。同行出来ないのは寂しいけど、営業部に残っても同じだ。なら、折角差し示してくれた先に進むべきだ。
「やります。勉強し直して、遂行します」
「そうか。分かった。寂しくなるな」
はあ?
落とさないで!
あなた何言ってるんですか?
「頑張れ。俺は顔を出すから、何か差し入れしようか」
また子供扱いだ。
「別に。でも困ったときに卓屋部長の顔が見れたら励みになります」
あ。
「俺でいいなら力になるし。でも、側にはいないからなあ」
どん、と落とすな、この人。
「慣れないうちは寂しいかもしれないが、その辛さも時間の経過で越えられる」
簡単に仰る。
「気を紛らわせる方法を見つけないと。そうだな、」
「……ありがちに、辛い時は空でも仰げと、言うんですか?」
「下鳥。空には何もないよ」
はい?
「空は、魂をなくしたら行く先。高くて暗いところ」
え。何を言い出したの。
「おまえが行くのは高くて誇れる場所」
何言ってるの。
「こんな空気の悪い、しかも蛍光灯が絶えない街に浮かぶ夜空には星が見えないだろ。見えないものを探して気が紛れるのか? 辛くなるだけじゃないかな。探し物は手が届く辺りにあるんじゃないのか」
手が届く辺りにはあなたしかいませんが。
「おまえには目指すものはないのか。追いかけるものはないか? 俺を口惜しい気持ちにさせるなよ?」
最初のコメントを投稿しよう!