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ジョンさんの声は受話器の向こうから、はっきりと聞こえた。やはり、おじいさんは耳が遠いのだと思った。
「ジョンです。すみません、あなたの名前を聞きませんでした。名前は何という?」
「塚田絵里香といいます。父が明日のパレードで、お店の前にあなたの絵を置いてもいいといいました。」
声は大きいものの、相手が外国の人ということもあって、絵里香は自分で話していて、ぎこちない日本語を喋っていると思った。学校で、もう少し英語を真剣にやっていれば良かったと後悔した。
「エリカ、いい名前ですね。明日、10時頃、行きます。ありがとうございます。」
ジョンさんが自分の名前を言うのを聞いて、心の奥がこそばゆい気持ちがした。明日、再びジョンさんに会うのを心待ちにしている自分に気がついて、頬が赤らむのを感じた。
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