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I shuddered with fear.
The neighborhood was a deathly silent street ...
The sky was filled with a lot of stars ...
This was a mystery of Tokyo in the dead of night ...
I saw those alone ...
I felt something imminent, vague, weird, huge and fearful.
I had no time to lose. I started to walk hastily toward my home.
私はブルブルと身震いをした.
あたりは森閑とした街路・・・
大空は星でいっぱい・・・
深夜の東京の怪・・・
私がタッタ一人で見た・・・
私は、私の周囲に迫りつつある、何とも知れない、気味のわるい、巨大な、恐ろしいものを感じた.
一刻も早く家に帰るべくスタスタと歩き出した.
At that time, two cars stealthily came from before and behind me.
... I and ...
... My dream of ...
... The image on the day of my wedding ceremony ...
その時に私の前と背後から、二台の自動車が音もなく近づいて来た.
・・・私と・・・
・・・私の夢の・・・
・・・結婚式当日の姿・・・
I ran away.
私は逃げ出した.
I rushed at the front door of the nightclub.
And I fell down to the doormat.
クラブの玄関へ駆け込んで、マットの上にぶッ倒れた.
"Help!"
「助けてくれ」
(了)
―― あとがき ――
WEB絵本『怪夢(街路)』
絵・訳:茜町春彦
原作:夢野久作
A Picture Book : "Nightmare (A street)"
Illustrated and translated by: Akanemachi Haruhiko.
Original author: Yumeno Kyusaku
夢野久作の掌編小説を翻訳し、絵本にしました.
日本語文は現代語表記に変更しました.
『赤いランプ』と『緑色の光』の意味について:
本編に『赤いランプ』と『緑色の光』と云う言葉が出てきますが、何を示しているのか良く分かりません.推測すれば、自動車のテールランプか、タクシーの屋根の上の会社名の表示灯か、街路灯、と云った所だとは思いますが、昭和初期の状況に於いて果してそれで良いか、分かりませんでした.また夢野久作が欧米の小説を翻案した可能性もありますが、よく分かりません.当翻訳においては「its red lamp」および「green light」と訳語を当てました.
参考文献:
夢野久作全集3(1992年8月24日第1刷発行 夢野久作著 ちくま文庫)
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