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少し感傷的になるのも
久しぶりに会う
友人たちに対する緊張から
くるものなのか?
そんな事を考えながらも
歩いているうちに
商店街の終わりまで来た。
するとーーー
「青野じゃないか?」
その瞬間、時が完全に止まった。
小説やドラマなんかでもあるけれど
喧騒や車の走りすぎる音
全てが掻き消され
ただその声だけを私の耳が
こぼさず拾う。
ゆっくり近づいてくる
その人物に目を合わせる。
一瞬で私の胸をきめつける。
前からやって来たのは
高校時代、同じバレー部に所属し
密かに恋心を抱いていた先輩だった。
叶うことのなかった
初恋の相手だった。
「大沢先輩…」
「驚いたなぁ。青野だよね?久しぶり。」
「お久しぶりです。」
「へぇ、暫く会わねぇうちにお前、めちゃ綺麗になってんじゃん。」
「ええっ、そ、そんな……綺麗だなんて。とととんでもないです。」
お世辞と分かっていても
嬉しさのあまり心臓が
猛スピードで動き出す。
「お世辞じゃないかんな?」
私の心を見透かしたように
先輩が笑いながら言う。
私の顔を覗き込むようにして。
「うっ…」
相変わらずの爽やかな笑顔に
完全にお手上げ状態だ。
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