3人が本棚に入れています
本棚に追加
今回の出来事を
旦那さんには全て話した。
いや、厳密に言うと…
全てじゃないな。
キスの部分は色々考慮して…
省いておいた。
何故、話したかと言うと
彼は私の不思議な力を
信じてくれている数少ない
いや、唯一の存在とも言えるから。
私が一通り話終えると
それまで何も言わず静かに聞いていた彼は
ーーー良かったんじゃないかな
先輩にとって君に会えたことは。
でも妬けるな、少しだけどね
と言い、笑いながら
私の唇を親指でなぞった。
そうだった…
彼は人一倍、感の良い人だった。
もしかして……気付いてる？
今でもあの日の事は
夢のような出来事に思えるけど
不思議なことにあの時、先輩が
私の財布に入れてくれた500円玉は
ちゃんと今も残っている。
よくみると少し血痕が付いていて
何かの弾みでなったのか…
ほんの少し変形していた。
それだけで事故の恐ろしさが
一瞬で伝わった。
それから先輩に言われたからって
訳じゃないんだけど…
実は最近になって
地元のバレーボールサークルに
思いきって入ってみた。
丁度、ダイエットしなきゃとかって
思っていたし…
バシンッと体育館の床に
ボールを打ち込む。
部活の頃とは違って
今は純粋に楽しみながら
プレイすることが出来る。
バシンッ
今日はアタックのキレが良い。
バシンッ
ーーーへぇ…やるじゃん
えっ？
体育館を見回すけれど
当然、先輩がいるわけもなく……
「まさかね。よーし、もういっちょ行くよ。」
メンバーに声を掛けボールを打つ。
アオイヒカリが
今度こそ青い青い空へと
消えていった事を
私は気づいていなかった。
【アオイヒカリ】
終
最初のコメントを投稿しよう！