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「失礼します」
と言って、前の席に座った。座ってから、
「どうも」
と僕に向けて言った。
「よ」
と僕は応える。
「ここは同期だよな」
と、大橋さんがキシと僕を交互に指差す。
「はい」
キシと同時に答える。大橋さんが僕を佐倉さんに紹介し、佐倉さんが、キシを大橋さんに紹介しようとすると、
「岸君は、一度飲みに行ったよね」
と大橋さんが言う。佐倉さんは、
「そうか、あの時、大橋くんいたね」
と言って、僕に顔を向けた。
「営業の飲み会、うちらの同期がたくさんいるんで、大橋くんも呼んだことがあるの」
「そうでしたか」
と答えて、無意識にキシを見てしまい、目が合った。
途中まで、割と平気かな、と思っていたが、佐倉さんとキシが担当している取引先で、キシがとても気に入られている、という話題になって、自分が何を食べているか、よくわからなくなってきた。
「まあ、岸君が好感度高いのは、わかるな」
と大橋さんが言うと、
「それはもう、おいとくとして、だよ、ね、あそこの部長は」
と佐倉さんがキシに言う。キシは関心がなさそうに苦笑して、首をひねった。
「うーん」
「部長さんて女性なの?」
と大橋さんが聞く。
「そそ、あそこはほとんどが女性の会社だから」
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