クソもかくにも男子校。

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…まあ、いいけど。 そのスルーの理由も、 後に解ることに なるわけだし。 「温泉、好きなのか?」 黒宮さんが話題を 振ってくれる。 「…うん。 ここに引っ越して 来た時から、 ずっと温泉街を 回って見ようって 思ってたから。」 …それまでは、 特別温泉好きって ワケじゃ無かったけど、 他に廻るとこも ねーし? 家からすぐに遊びに 行けるとこっつったら あの温泉街くらい しかねーし。 でも、温泉嫌いって ワケでもねーから 暫くは温泉 マイブームだな。 それに… 「温泉街の 沢山の煙突から出てる 煙りとか、湯気とかが 街中に溢れてて 幻想的だよねっ。 初めて見たとき、 ビックリ…しました。」 おっと、危ね危ね。 うっかり敬語、 取れかけてたっ… しかし、…あれはマジ 圧巻だった。 あの温泉街の観光地の 幻想的な雰囲気は、 レトロな異世界空気で 同じ日本にこんな場所 あったのかって、 関心するくらいっ 暫く目を奪われたしっ 「そっか、 俺はガキの頃から 見てた風景だから、 何ともねーんだがな。」 …まあ、地元の人なら、 そう言って謙遜 するよな。 「…そうだ、 黒宮さん、 旅館のサイトとか ないデスカ? 検索するから………」 オレがそう言って、 スマホを取り出そうと したら… 「連れてってやる…」 「……ぇ?」 「だから、今度、 連れてってやるって。」 「ああ、 …ぅん。 ありが……とう。」 素っ気なく言われたけど、 なんか、嬉しくて 黒宮さんの横顔を 思わず見上げたけど、 黒宮さんの方はずーっと 前見据えたまんまで、 話すときもこっちを 向くことは… 無かった な。
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