や・ば・い

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……そんな彼のお陰で、 僕の退院クラス復帰は 誰からも気付かれずに いたけど、 僕もそんなものは最早 頭からは吹っ飛んで しまっていて、 ……思い切って、 隣の転校生に声を 掛けてみた。 「美岬くん、毎朝 学校に来るの早いよね? どうやって来てるの?」 さっきまで、 曇りがちだった彼の ガラス玉のような瞳が パッチリ見開いて、 あどけない表情で 屈託なく、 僕の問いに応えてくれた。 …か、かわいい じゃねーかっ!!!! 男だと解ってるけどっ これは、もっと 会話を繋ぎたいっ… そう、思ってたけど 復帰早々、抜け駆け しようとした僕に、 他のクラスメートからの 無言の圧の視線が、 放たれる。 …つい、思わず、 転校生……… 美岬くんから顔を 背けてしまった。 ああ、向こうも 歯切れワルいっ… て、顔 してるよ。 でも…… それでも、また、 美岬くんと話してみたい… けど、 …今日も 話し掛けてみようか…? 席は隣だし、 きっかけも機会もチャンスは 沢山あるしっ!!!! しかしっ………… コチラからなかなか声を 掛けられないでいたら… 「あの… 次の移動教室なんだけど、 一緒に行ってくれないかな? まだよく校内を回り きれてなくて… 一人じゃ迷いそうで。」 なんとっ!?!! 今日は美岬くんの方から 僕に声を掛けてくれたっ!!
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