だからその手を離して。

2/8
前へ
/378ページ
次へ
――――――― ―――― 「…あの、 西條ヶ原(さいじょうがはら) ……くん、 名字、長いから名前で 呼んでもいいかな?」 「!!!! ……っ 構わないよっ!! じゃあ僕もカエデくんって 呼んでいい?!」 「"カエデ"でいいよっ よろしく。コウタくん。」 「じゃあ、僕も 呼び捨てにしてっ! よろしくカエデ!」 転校してようやく、 クラスメートで気軽に 話せる友人ができた。 こないだ、 話し掛けてきてくれた 隣の席の人…… 西條ヶ原コウタくん。 実はオレが 転校してくる前に 入院していて、 クラス復帰したのが 最近らしい。 つまり、お互いまだ 新しいこのクラスに 馴染めて無いって こともあって… まあ、 いろいろと話が弾んだ。 ……一時期、 学校生活での幸先の 不安はあったけど、 勉強の方は前の学校の 方が進んでたから、 予習ノートで復習すれば 問題無かったし、 ……ただ、 やっと、一人 打ち解けてくれた コウタく… コウタ以外の クラスの連中は、 やっぱり、どこか オレに線を置いてる みたいで… まあ、原因は………… おそらく、 「カエデくん。 一緒にお昼食べよう?」 「……」 にっこり笑顔で オレの机の前に腕を 伏せて、 今日も昼飯を 誘って来たのは… 「あの………」 戸惑うんデスけど…? なんで、 なんでこの人がっ? クラスだってかなり オレとは離れてる はずの?!!?? 鈴鳴アサトさんがっ?! ここ最近、 毎度毎度の昼休みに オレの教室に来て、 なんでっ? 一緒に昼飯を食うハメに なってんだ…?!!! …そんで、一緒に 昼飯食べてたコウタが、 遠慮しようと席を 外そうとしたけど、 オレは思わず、 コウタのシャツの裾を 引っ張って、 無理矢理教室に留まって もらっていたっ… そんなオレにコウタは、 えぇええっ!!?!って メッチャ困惑した顔を 向けて、 オレと顔を見合わせて きたけどっっ… すまんっ!!!! 今はっ!! オレだけにしないでくれっ!!
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

400人が本棚に入れています
本棚に追加