今宵、新月の夜。

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ほたるっ!!これがっ!?!! 「…現物、見るのっ… ……ハジメテで…」 …恐る恐る、 黒宮さんにしがみ ついたまま、 再び顔を上げて 川の方を見てみた。 ホタルって、あのっ 確か光る虫だよな… コレがっ…!?マジか!!! 「…おい」 !!!!!! 頭上から黒宮さんの 低い声が掛かってきて… しまったっ!! 「ごめっ…スンマセンッ」 ヤバッ…ついっ ビビり過ぎて黒宮さんに タックル混じりで 飛び付いてしまってたっ しかもっオレが 急に飛び付いてきた もんだからっ 黒宮さんを驚かせた みたいで、 黒宮さんも動悸が バクバクしてんの 響いてきてたしっ ヤバ~~~~… 「この辺は川の水が 綺麗だから、 七月上旬くらいまでは 見ることが出来る。」 「…へえ……」 …光の正体が解れば 恐怖も無くなって、 少し黒宮さんから 身体を離すと、 オレはこの幻想的な 景色に暫く魅入って しまっていた。 今までこの辺りを通る時は 陽が沈む前にいつもチャリで 通過してたから、 黒宮さんと一緒に帰って 無かったら この川に蛍がいるなんて、 暫く気付かないまま だったんだろうな。 「…!!」 黒宮さんのシャツの 裾を握ったままだった 手に気付いて、 離そうとしたら… 黒宮さんがオレの肩に 軽く手を乗せてきて、 少し引き寄せられた かと思ったら、 今度はその手をオレの頭に ポンポンってした。 「あのっ…もう、 大丈夫っス。 ありがと、黒宮さん。」 …コワイ人かと 思ってたけど、 やっぱり面倒見とか 良い人なんだよな~っ 黒宮さん。 初絡みからずっと 優しくして貰ってて、 黒宮さんと一緒にいると、 いつもなんだか気分が 綻んでいた。 image=511416433.jpg
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