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キッチンでは、気が遠くなる程じっくりと煮込まれている鍋が、熾火の揺れに合わせてカタカタと蓋を鳴らす。換気扇をつけていても、炎の熱でむっとするほど暑い。
冷蔵庫やオーブンを開けては、料理の出来を確認する。
ワインセラーもチェックする。
日本酒は常温で。涼しい窓辺の風に当てておこう。
自分用のサングリアをちょっとグラスに分けて、カランと氷をおとす。喉がキュッと引き締まるような冷たさに、思わず息が漏れる。
準備は万端。のはずだ。
今の僕に出来ることは一生懸命やったのだから、これ以上出来ることはない。
あとは嵐の訪れを待つだけ。
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