2話 どら焼きハッピネス
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2話 どら焼きハッピネス

「塩川クリニック院長夫人はあのどら焼きにえらく感激してな。あの品を自分で買おうとしてネットで検索したらしい。するとあのどら焼きは普通じゃない事がわかったんだ……」 「普通じゃないって、おかしいってことですか?」 「いいからこれを見ろ!」 姫野が示すパソコンの画面には『七香亭の幻の白餡どら焼き』と合った。 「ネットの情報によるとだな。この白餡は高貴な方に献上する特別使用のどら焼きとあるぞ。お前、これどうやって買ったんだ?」 「えーと……なんて言うか、その……言いたくないですね。個人情報とか、プライベート的な感じで」 「はぁ?」 「お話し中すみません。姫野係長。狸小路外科からお電話です」 またしても事務員に話を切られた姫野は、苛立ちながら電話機を掴んだ。 「くそ!風間。辞表はどうでもいい。席で待て……お待たせしました姫野です」」 「ふあーい」 姫野の電話中、今日で辞めるつもりの風間はやりかけの仕事を済ませようと仕事を始めた。 この夏山愛生堂なつやまあいせいどうは医薬品卸売の会社。医薬品メーカーから薬を購入し、各病院へ販売をし、北海道経営会社では三本指に入る大企業だ。