3話 立ち入り禁止
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3話 立ち入り禁止

「おはよう」 「おはようございます」」 6月の札幌。 北海道には梅雨が無いとされているが、このところ雨の日が毎日続いていた。 夏山愛生堂ビルの玄関では社員が濡れた靴でやってくる床を小花はモップで拭いていた。 「小花ちゃん!おはよう」 「おはようございます。まあ?風間さん。肩が濡れていらっしゃいますわ」 小花は彼の顔も見ず、持っていたタオルで風間の肩をポンポンと拭いた。 「ありがとう!あのさ、今日の昼休み、部屋に行っても良いかい?今日は俺も弁当なんだ」 「はい!お待ちしています」 風間の背を見送った小花は、次々に玄関にやってくる社員に笑顔で挨拶をした。 「おはようございます!」 そして中央第一営業所にやって来た風間は元気良く姫野と松田女史に挨拶をし、自分の席にどかと座った。 「ああ。おはよう。なあ。風間?」 「なんですか?先輩」 昨日は会社を辞めると騒いでいたくせに、今朝は何事もなかったように爽やかにやってきた風間を姫野はじっと見ていた。 この後輩の事を一晩中気にしていた姫野は彼の態度を見て、夕べの自分がバカバカしくなり、ついに怒りを超えて風間のデスクにバーンと手を付いた。 「昨日の清掃員の件だ!」 「ああ。彼女が何か?」