177Special 愛戦士 札幌熱血戦 

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四 決戦は金曜日 (異国語)「王。夏山愛生堂が血液を運搬する車を用意している。こちらは車のナンバーは押さえた」 「作戦を再度、確認する。まず新千歳空港」 空港に運ばれた血液。彼らは夏山がこれを運ぶ運搬方法を自動車とJRの場合を想定していた。 自動車の場合は後方から追突事故を起こす計画。JRの場合は電車を停めて、その混乱時に血液を奪う計画であった。 「そして苫小牧は?」 「港からは車しかありえません。ここも車を狙います」 「小樽は結局どうした」 「千歳と同じです」 「そうか……諸君。いいか、聞いてくれ」 王は部下に訴えた。 「我らの宝を。国に帰してはならない。裁判という恥辱が待っているだけだ!彼を英雄のまま、この祖国で死なせてやるのだ」 嬉々と返事をする部下達の指揮をあげた。 これからの手術。警備を日本の会社に任せた王は、一人、病院の一室の自分の部屋に入った。 緊張が解けず、ここ最近は眠っていなかった。 そんな彼のポケットには彼女がくれた入浴剤が入っていた。 戦いの前夜。彼は花の匂いをそっとお湯に溶かした。 静かな静かな黄昏時であった。 ◇◇ 「おはようございます。あれ?みなさんはどうしたの」 「なんか知らないけれど。男性社員は出払っているのよ」 金曜日の朝の中央第一。不思議であった小花は、それでも午前中に札幌病院にやってきた。 王に忠告されたので、早めにやってきた彼女は掃除をして終えた。 いつもとわからぬ病院。小花は清掃を終えて病院を出たが、掃除道具を出しっぱなしじゃないか不安になってしまった。 ……おトイレにぞうきんが出しっぱなしの気がする。やっぱり戻ろう。 一度病院を出た小花は、戻ってきた。そして気になった大型トイレに顔を出した。 「やっぱり?ぞうきんがこのままだった!危ない危ない。ん?」 そこには大きなバッグが置いてあった。 「忘れ物?名前があるかしら……どれ」 小花がバッグを広げると、そこには時計と花火みたいなものが入っていた。 「花火なんて。病院は火気厳禁よ?常識知らず……ま、待って。これって」 危険物を発見した小花は腰を抜かしたが、廊下に飛び出した。そこにバインダー片手の看護師が通りかかった。 「あの!あ、あの」 「どうかなさったんですか」 「け、警備の人を、よ、呼んで。し、静かに」 「???」 「早く早く早く!」 警備員が来るまで小花は掃除中の看板を出してトイレを禁止した。その胸は高鳴っていた。 その前から事件は始まっていた。 最上階の特別室。王は仲間と連絡を取っていた。 「新千歳の様子は」 『大阪便からのブツは到着しています。今は羽田からくるものを待っている模様です』 「夏山の動きは」 部下の話では空港の駐車場に夏山の車が待機しているということだった。 自動車なら交通事故の手筈。その時、他の部下が報告してきた。 『電車も部下が待機済みです。狙いの駅にいます』 「置き石は目立つようにおけよ。じゃないと電車は停まらないからな」 線路に置き石をすると予告電話をし、電車を停めたのち、混乱に乗じて血液を奪う手配だった。 こんな話の間。王の部下から小樽の連絡がきた。 『大変です!フェリーが到着したんですが』 「どうした」 『ヨットで行ってしまいました』 「ヨットだと?」 石狩湾に消えたヨットに彼らは呆然としていると話した。 「くそ。それでもどこかで陸に降りて夏山の車に乗るはずだ。ヨットハーバーに行け!」 『はい』 まったくの想定外。驚く王に仲間も眉間にシワを寄せた。 「他も心配ですね。そろそろ羽田便が到着しますが」 「何か仕掛けてくるかもしれないな」 「こっちも時間なので。置いてきます」 「あ、ああ」 黒いカバンを持った部下。これは爆発物もどきのカバン。これに警察の目を向けさせるのが彼らの目的だった。 しかしその時。民間の日本の警備が総統の術後の警備の再確認を言ってきた。 「警備はお前だ。俺がブツを置く」 そんな王は、代わりに鞄を持ちエレベータの中にいた。空港にいる部下から連絡をもらった。 『運搬は夏山の社員五人です。彼らはJRに乗ります。ターゲットはクーラーボックスを持っています』 「気を付けろ。何か策があるかもしれない」 返事をした部下に一抹の不安がある王に、部下からメッセージが来た。 「なんだって?」 それは。乗った電車札幌行きのエアポートの車両には同じクーラーボックスを持っている男で満員だったいう事実。このメールを読んだ王は素早くトイレにバッグを置いた。 そして部屋に戻り、部下に報告した。 王の推理では、夏山の似たような社員達が同じクーラーボックスを持ち、電車を占領したのだということだった。 「やられたよ。夏山に」 「これでは電車を停めても意味がないですね。誰が本物かわからないのだから」 「では駅で奪うことにして。置き石は中止だ」 この命令をした王は、ふと部下を見つめた。 「……なあ。本当に警察も自衛隊も関与していないはずだよな」 「はい」 「たかが医薬品卸の会社に。切れ者がいるってことか?どうも、掌で転がされている気がする……」 この夏山の奇策に、王はどこか笑みを浮かべて窓の外を見た。地上では彼の想定どおり、ガードマンが誘導し、この病院の患者を屋外で移動させていた。 「やっぱりいたか。ミス小花。あれほど来るなと言ったのに」 「王。そろそろ苫小牧だ」 「わかってる。しかし。それもどうかな」 その頃。小花は必死に患者を爆発物から遠ざけていた。 「爆弾処理班はまだですか」 「そんなに早くきませんよ」 「あなたはそれでも警察ですか!あ。あれは」 そこには防護服を着た機動隊がやってきた。これにちょっとホッとした小花は、発見当時の話を刑事にしていた。 「ですから。何度も申し上げていますが。トイレにあったの!それだけですわ!」 「その時間は?」 「存じませんわ」 「人を見ませんでしたか」 「知りません!監視カメラをご覧になればよろしいでしょ」 「他に気がついたことは?」 「あれば言っています。あ、あれば、ね」 そんな鈴子は急に心臓がドキドキしていた。 こんな彼女が札幌病院で奮闘している時、彼は苫小牧にいた。 「部長。今はどこですか」 『石狩湾だよ!渡に代わるぞ。もしもし姫野』 小樽港で受け取った血液をヨットで運ぶ彼らはこれからヨットハーバーに到着予定だった。そこで待機の自動車に乗る予定。この運転手は夏山愛生堂子会社の手塚。彼の自家用車のプリウスは販売数ナンバーワンで、数多く走っているありふれた車だった。 これに安心した姫野は千歳担当の桐生のメッセージを確認した。 電車をハイジャック成功にまずはホッとした姫野は、敵の出方に用心するように指示を送り終えた。 「さて。俺達の番か。いくぞ。風間」 「オッケーです。ええとどれかな」 港についたフェリー。そこに乗り込んだ姫野と風間は船内の駐車場にいた。 「これだ。ええと、どうやってエンジンかけるのかな」 「大丈夫か?これからこれに乗るんだぞ」 「平気っすよ。ええと。これか」 風間がエンジンをかけるとドルンドルン!とお腹に響く音が轟いた。 赤十字の担当者が心配そうな顔の中、姫野もヘルメットをかぶった。 「では。そちらは計画通り電車でいらしてください。行くぞ!風間」 「うっす!お先に」 風間のホンダNSR2500の続き、姫野のドゥカティの爆発音が響いた。 二人のライダーはフェリーを飛び出し、そのまま一般道へ飛び出していった。 姫野にミラーには背後から車が追ってくるのが見えた。 血液を持っているのは姫野。風間は追走し拡散するのが狙いだった。 警察には血液届の任務を通達している姫野は、特別高速を許されていた。本来は警察車両が併走予定であったが、苦肉の策で道路点検を理由に道を封鎖していた。 そんな警察車両は後方から追いかけてきたが、姫野達を追う不審な車は走行を妨害していた。 他の警察車両が遠い中、誰もいない田舎道、姫野達はぶっ飛んでいた。 しかし、バイクに不慣れな風間に合わせて走る姫野はどんどん追いつかれそうになっていた。 これからの道は封鎖していない一般道。縫うように走るのは風間には無理に思えてきた。そんな不安を抱えた姫野は一般道の最初の信号待ちで、風間にフェイドアウトを指示した。 先のコンビニに応援のパトカーを見た二人は、ここで別れ、姫野は一人札幌に向けてバイクを走らせた。 トラックがある中、絶妙な安全運転で進むライダー姫野。しかし。後続には怪しい車が彼を追っていた。そんな中、一台のバイクが横道から入ってきた。 ……間に合ったか。頼んだぞ。 任せておけ!と言わんばかりに京極のバイクは不審な車をブロックギリギリに走っていた。 姫野を追うことが難しくなった不審車はやがて警察に停められた。 これをミラーで確認した姫野は、札幌までバイクを走らせた。 「姫野!こっちだ」 「社長!他の血液は?」 「大丈夫だ。ちゃんと届いているよ」 看護師に渡した血液。これを見届けた札幌病院で待っていた慎也はライダースーツの姫野をねぎらった。 「桐生達は血液を持った本物を囲んだまま、札幌駅からここまで歩いてきたし。石原さんと渡さんも手塚さんと来てくれたし」 豊平と白石。そして北広島の夏山愛生堂社員の人海戦術。彼らはただクーラーボックスを持ち電車に乗るだけであったが、その効果は絶大だった。 「そうですか。あの。風間はどうしてますか」 苫小牧に置いてきてしまった風間は、疲れたので途中から電車に乗って向かっていると話した。 「しかし。フェリーの中からバイクで飛び出してくるとは思わなかっただろうな」 「ヨットよりはいいでしょう。ん?あれって、鈴子じゃないですか」 「え?小花さん」 全てが終わった感じの昼下がり。二人の視線の先にはガードマンの部屋で怖い顔をしている彼女がいた。 「鈴子」 「あら?姫野さん。それに社長さん」 「お前。ここで何をしているんだ」 「……掃除でしたが。今、対決しないとならないんですよ」 思い詰めている小花はライダースーツの姫野に疑問を抱かず、最上階に行くと言うので、姫野は止めた。しかし、彼女は何がなんでも行くと言って聞かなかった。 「私は掃除で顔パスなんです」 「では私も行く。一人ではダメだ」 「気を付けていけよ」 慎也は待つというので小花と姫野は最上階にやってきた。するとおかしなことに誰もいなかった。 「変ね。いつもはここはたくさんの警備の人がいるのよ」 「もしかして。スーツ姿の、日焼けした東洋人かい」 「そうよ。みんな良い人ばかり、あ?王さん」 鈴子が見たのは、奥の部屋にいる疲れ切った王だった。 彼は椅子にもたれるように座っていた。 「王さん。どうなさったの」 「……君か。通りで上手くいかないはずだ」 「やっぱりあなたが首謀者ですか……」 「ねえ、姫野さん。何のこと?あのね。王さん。あなたね。嘘爆弾のバッグを置いたのは」 トイレの残り香。自分が渡した入浴剤の香りがしたと悲しく呟いた。 「なぜなんですか。手術を妨害するようなことを」 「名誉ですよ。彼は帰国すれば裁判。最悪は死刑だ」 「……だから日本の医療ミスで、亡くなればいい良いと、そういうことか」 この姫野の話に鈴子は涙した。 「総統が何をしたのかは存じませんわ……でも、王さんが命を奪う権利はありません」 「彼の政策はたくさんの人を殺した。他にもたくさん」 「それを決めるのは王さんじゃありません。帰国して、あなたの国が決めた法律で決めることよ。それに今回の血液だって。もし届けられなかったら赤十字の人や、献血してくれた人は自分のせいだって責めるかもしれないんですよ?」 「……」 「それに。総統だってわかっておいででいたのかも?だから夕張に行ったんですわ……う。ううう」 泣き出した鈴子を姫野は胸に抱いた。 暗い部屋の王は、悲しい顔で鈴子を見た。 「もう少し。早く君に会っていたら。変わることが、できた、か」 「おい。ダメだ。鈴子。医師を呼べ。早く!」 「え。ま、待ってね」 彼女は足早に他の階へ向かった。 姫野は床に倒れた王に膝をついた。 「くそ?毒物を飲んだのか」 「……教えてくれ。なぜそこまでして運んだのだ。他国の悪人のために」 息が荒い王に姫野は言葉をかけた。 「夏山愛生堂にはな。愛があるんだ。これはどうにもならないのだよ」 「ふ。敵わないよ……」 やがてバタバタと医師が到着した。 彼を託した姫野と鈴子は慎也の元に戻った。 「あ。総統の手術は成功だってさ」 「そうか。良かったな鈴子」 「でも。王さんが」 自殺をはかった王。 これを心配する鈴子は、このまま病院に泊まり彼を見舞った。 翌朝。彼は目覚めた。 「重い……なんだ」 「スースースー」 「小花?」 ベッドに寄り添う彼女は眠っていた。そこに姫野がすっと入ってきた。 「気分は?」 「最悪だ」 「総統の手術は成功しました」 「そ、か」 部屋には鈴子の寝息が響いていた。 「これから警察が来ますが。彼女をお願いしますね」 「え。おい。姫野」 彼と入れ替わりに警察関係者が入ってきた。 寝ている鈴子を無視して話が始まった。 「あなたは総統と殉死ししようとしたんですね」 「え。どうしてそんなことに」 「彼女の証言です。それと。あなたの仲間の一人が自動車のスピード違反で罰金。あなたの自殺未遂は浅いので、今回の件は無かった事とさせていただきます」 「……この病院の爆発騒ぎはどうなるんですか」 犯人が王とわかっていると言う目の警察関係者はこれを殺し話をした。 「発見女子の勘違いと言う事らしいですよ。本人が言うので我々もそれで解決です。では」 そう言って彼らは部屋を出て行った。 「鈴子……やっぱり。君は」 彼は朝日の中、寝ている彼女の頭を撫でた。 その瞳は濡れていた。 その後。 彼らは不問となった。夏山慎也と姫野は療養中の総統から招待されお礼を言われた。 「許してください。部下の不始末を」 「いいえ。顔を上げてください」 「まずは手術が成功して良かったですね」 姫野と慎也に微笑んだ総統は懐かしそうに慎也の顔を見つめた。 「私はね。あなたのお父さんと仕事をした事があるんですよ。気骨のある男だった」 「父とですか?そうですか」 「亡くなったのは残念だ。今は?ご家族は?」 慎也は寂しそうな顔をしたので姫野もそうなった。 「妹が、居場所が分からないので、探しているんです」 「そうですか……でもね、いつかきっと会えますよ」 総統はまっすぐ慎也を見た。 「案外すぐそばにいるのかも」 「まさか?」 「ははは。ところで。見事な作戦でしたね、ミスター姫野。ヨットには驚きました」 「恐れ入ります」 「電車もバイクも。君の取った方法は誰も傷つけない優しい方法だ。一国の党首をしていた私は恥ずかしいですよ」 さらに彼が入院中使用していた夏山愛生堂の開発した介護用品が気に入ったと話し、これを彼の国に輸入する大口商談まで決まった。 そしてある日のことだった。 「ねえ。今度は誰が来るって言うの?」 「紗里ちゃん。外国の来賓(らいひん)だって話よ」 「ライディーン?」 「来賓!良い加減にしてよ」 怒る掃除娘の恵に明子と真子は笑っていた。 午前中の卸センターは秋晴れ。どこか涼しげな東の空気。そこに高級車がやってきた。 「すみません。お嬢さん」 「は、はい」 「夏山愛生堂はどこですか」 「え、ええと。そ、そ、その」 あまりのイケメンに明子はビビっていたが、真子は案内に走り出した。これを紗里が捕捉した。 「あの娘について行ってください!」 「ありがとう」 そして卸センターの夏山ビルの前に、車は停まった。 運転席から降りたきた王は、夏山ビルにスタスタと入ってきた。 「恐れ入りますが」 「きゃああああー、な、なんですか」 「驚かせてすみません。小花さんはどこですか」 長身でいい匂いのする超かっこいい王に、ドキドキの蘭は階段を指した。彼は無言で階段を駆け上った。 「いた?ミス小花。ねえ。小花」 「……王さん。私はもうお会いしないと言ったはずです」 「なぜ。どうして。ほら、こっちを向いて」 振り返るとホウキを持った小花は泣いていた。彼は思わず抱きしめた。 「鈴子……」 「王さん。お帰りになるんでしょう。どうか、お気をつけて」 「その前に。総統が君に会いたがっているんだ。さあ」 彼に肩を抱かれた鈴子は、社員が見守る中、彼のエスコートで総統が待つリムジンに乗った。 停車したままの車。後部座席に一緒に座った総統は元気良さそうだった。 「ようやく会えたね」 「ごめんなさい……私。別れが辛くて。お会いする勇気がなかったんです」 「そんなことないよ。また会える、きっと」 総統は鈴子にプレゼントをくれた。しかし彼女は首を横にふった。 「これは高価なものじゃないよ。初めて会った日の紅茶だよ」 「それなら欲しいです」 「良かった。私もこれを飲むときはあなたを思い出すでしょう」 「総統。そろそろ時間です」 「では、お元気で……」 そう言って王が車のドアを開けたので小花は降りた。 そんな彼に小花は一言言ってやった。 「王さん。二度と、おかしな真似をしないでくださいね」 「鈴子。君の愛を僕にも……」 「へ」 社員が見守る中、王は小花を抱きしめて口付けをした。 一堂が悲鳴を上げる間もなく、王は、笑みをこぼした。 「王さん……」 「僕を忘れないで。愛しい君に、幸せがきますように」 驚く彼女にウィンクをした彼は車に乗り込んだ。 そして去っていった。 「鈴子。大丈夫か」 「あ。姫野さん。ちょっと驚きました、ング!」 さらに姫野に上書きされた鈴子は、驚きで寄り目になった。 「ぷは!どうだ!」 「信じられませんわ。こんな公衆の面前で」 「公衆の面前だからするんだ!なんだ、あいつとベタベタして」 「ベタベタなんかしてませんわ!」 喧嘩を始めた二人に呆れた社員は会社に引っ込んでいった。さらに出遅れた慎也も窓から全てを見ていた。 彼は社長室の亡父親の写真を仰いだ。 「父さん。総統から褒められたよ……それにね。介護用品の輸入が決まったんだ。でもね、あの車椅子の商品名が決まってないんだよ」 写真の父は微笑んでいるように見えた。 「そうか。鈴子の名前にしようか。うん!決めた」 秋の始まりの札幌は落ち葉の季節。アースカラーの街にはカラフルなコートと素敵な色のマフラーが街を彩っていた。 行き交う人の靴音はどこか軽快で足元のどんぐり達も踊り出す。 ワインカラー風の中の彼らは、今日も愛に染まっているのだった。 Special 愛戦士 札幌熱血戦 完 第二章 プラタナスの街   完 「ぞうきんガール」     完 ーーーーーーー ご愛読の皆様へ いつもありがとうございます。札幌熱血戦をお届けしました。 これは番外編というか、秋に近いお話になります。 映画のような話にしたいと思い、こんなスケールの話になったと記憶しております。 「ぞうきんガール」は私としては鈴子と姫野のラブコメディとして書き始めたものですが、仕事の様子が面白い、と評価いただき嬉しく思っています。 私にとって鈴子は女の子の本音の塊です。 仕事はしていますがサボったりしますし、勉強も苦手です。ドジですし、面倒なことに文句を言いますが、人間味あふれる素直な女の子です。 かっこよく見せようとする気はないですね。それよりも毎日の仕事と勉強をこなすのに必死、という感じです。 そんな愛すべき鈴子達のお話はまだまだ続きますが、編集の都合で次の作品以降は「ぞうきんガール2」でお届けします。 北海道札幌駅の東の再開発で札幌卸売センターはその姿を消してしまいましたが、夏山愛生堂の愛は、これからも続きます。 ご愛読ありがとうございます。 2023年2月2日 みちふむ
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