青春

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高校生になると時子はアルバイトをすることになった。時子の学費の足しにするように母から言われたからだ。ほとんどアルバイト代は母に無理やり取られた。姉の町子は普通に高校生活を送りいつものように母からも父からも可愛いがられていた。時子は父からは変に愛され母からは愛されずに孤独な日々を過ごし続けた。唯一の楽しみは学校の友達と一緒に過ごす時間だけ。夜は相変わらず恐怖の日々と父からの性的虐待。(毎日毎日家族を恨んで、いつかこの苦しみを復讐してやる!)と心に誓った。そんな時子だったが自分では気が付かなかったのだが意外にもその頃から男性からのアプローチが多くなっていたのである。時子は醜いアヒルの子から知らぬまに美しい白鳥になっていた。時子自身は何も気づいてはいなかったのだが、誰から見ても目を見張るくらいの美しさになっていたのだ。そんな時子にある男性から 「今度デートしない?」と声をかけられた。時子は軽く「今度ね!」とあしらった。アルバイト先でのことだった。男性から声をかけられたのはこれが初めてだった。もちろん今まで男性と交際した事など無いのであまりピンとこなかった。男なんて父のように気持ち悪いしあまり興味が無かった。そしてまた父の性的虐待が続けられていった。もう毎日同じ生活の繰り返しにウンザリだった。父と母にはもう怨みしかなく(いつか覚えていろ!復讐してやる!まずは早くこの家から出て家族との縁を切りたい!)と毎日呪文のように唱えていた。そんなある日鏡を見ると確かにもう一人自分の中には誰かがいる感じがして何だか怖くなってやはり鏡を見るのをやめた。相変わらずラップ音や黒い影は毎日のように繰り返された。それでも父と母の虐待よりはその恐怖の方がまだマシだと思っていた。ある日の夜は黒い影が時子の上に乗ってまるで父に犯されているかのような痛みが走った!その影は強い力で時子は金縛りにあったように動けず声も出せない!「もうやめて!痛い!消えて!」と心の中で叫ぶとやっとその黒い影は消えた。その次の日まで下腹部が痛かった。あれはまるで黒い悪魔のように思えた。そのまま学校へ行って帰りまた父の性的虐待を受けまたアルバイトへ行った。もう心も体もボロボロであった。
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