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時子はこれで良かったのかはわからないがとりあえずもう父からの性的虐待をされる事は無いであろうと少し安心した。それから何日か過ぎたある日母から家に連れ戻された。そして母は言った。「ごめんね。」と。時子は泣き崩れた。涙がこんなに出るのかというくらい泣き続けた。(やっとこれでついに母からの愛がもらえるんだ!!)そう思うと今までの間虐待されてきた事はすべて忘れられる!!と時子は嬉しくて喜んだ。そして高校は中退するからと言った。もう何か仕事を探して働くからと言った。母はいいと言ってくれた。姉は時子には何も言わずにうなずいた。これでもう母からの虐待も無くなるはずだ!と、時子は嬉しくて喜んだ。しかしそんな幸せはものの何日かで崩れていった。母の酒乱は治らなく、酔って帰るなりこう言ってきた。「アンタは子供ではなく、女だ!」と。時子は何のことを言っているのか分からなかった。そして髪を掴まれ引きづられ風呂に連れて行かれホースで水を頭からかけられた。(何でだ!何でこんな事をするのか?)時子にはさっぱり分からなかった。大声で怒鳴られ殴られた。夜中の水はとても冷たかった。そして痛かった。それからまた母の虐待が始まったのである。前にも増してさらに激しい虐待が始まったのだ!理由は毎日の虐待で段々と分かってきた。あの憎い父と肉体関係をしてきた事への嫉妬であったのだ!時子の事を女として見始めたのである。あんなに辛い思いを過ごしてきたのに、やはり母はただのつまらない一人の女だった。それからまた時子は母を恨んだ!(一番理解してほしい母はもう母ではなく鬼なんだ!こんな人は人ではない!)しかし虐待が怖くて怖くて謝る事しか出来なかった。心の中ではまた毎日呪っていた。(こんな家族はいらない!みんな死ねばいい!)と時子は思った。そして夜中のラップ音はひどくなり、黒い影や白いモヤのような煙のようなものが現れた。それらは母の虐待と同じくらいにひどくなってきた。時子も同じくらい家族を恨んだ。そんな日々を過ごしていたが時子は仕事を探していた。お金がないとこんな家から出れないから少しずつ貯めたかったからだ。しかしなかなか仕事は見つからなかった。
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