マシーニャ

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 何気なく彼は立方体を撫でていた。タイマーが鳴って彼の休憩時間が終わりを告げた。家族を起こさないために素早く音を止めた。まだまだ原稿を書かなければならなかった。  箱から手を離した時、空気が抜けるような音がしてキューブに変化が起きた。上面の厚さ5ミリメートルくらいがスライドした。  彼は開いた箱から離れた。中から、とても中に入ってるとは思えない大きさのものが現れた。それは人の形をしていたが、人でないのは明らかだった。  まっ白い陶器みたいな素材で身体ができていた。女性の身体を模しているのか全体的に丸みを帯びていて、胸にそれなりの膨らみが二つのある。しかし関節部は複雑な機械的機構が露出していて無骨な印象を与えた。  頭はヘルメットを被っているようで、耳みたいな突起が一対ある。目は一様なピンク色のようで、内部に複雑そうな構造が透けて見える。口元は白いマスクでも被ってるみたいに平坦だった。 「……まずは貴様からだな」  仁王立ちでそれは喋った。それも流暢な日本語だった。女性というのは間違っていないようで、声は少女みたいだった。合成音声なのは分かるが、とても自然な抑揚だった。 「な、君はいったい……」 「貴様ら無学な人間に教えてやろう。妾はミケット、機械生命体マシーニャのミケットだ! 全宇宙で最も洗練された技術を持つ我々の次の目標は地球を支配下に置くこと!! 妾はその偵察にやって来たという訳だ。貴様の生臭い脳みそでも理解できたか?」
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