マシーニャ

4/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 玲は息を飲んだ。地球侵略なんて突拍子もないこと、普通なら信じられない。だけど目の前に現れた彼女、ミケットには説得力があった。  部屋のドアに背を向けているのは彼女だった。もしこの場で逃げるとしたら、窓を開けて2階から飛び降りることになる。  しかし彼は覚悟を決めて窓に振り返った。そして素早くかんぬきを開けてガラス戸を引くと、窓の外に飛び込んだ。2階程度の高さなら死ぬことはないだろうと踏んだからだ。漫画で彼は5点着地法を見知っていた。 「危な――じゃなくて! 逃がすか!!」  彼女が手を振ると、フタが空きっぱなしのキューブから太いケーブルが伸びてきて彼の足を絡め取る。半身が窓の外に出ていたから中空に宙づりとなった。  そのままケーブルを引かれて、彼は部屋に戻された。天地が逆転したままで、彼は頭に血が上る感じがした。 「全く、妾になんてことをさせるのやら。まあよい。早速、貴様を妾の眷属にしてくれる」   宙ぶらりんのままケーブルが巻き戻されて、彼は箱の中に飲み込まれると分かった。床に手足が付くようになると彼は突っ張らせて抵抗したが、ミケットが手足を蹴り飛ばして彼を転ばせた。  彼は立方体の中に取り込まれた。中は真っ暗だが外見より広く、彼が激しくもがいても何にも衝突しなかった。手足に巻き付いていただけのケーブルは身体に伸びて全身を絡め取った。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!