マシーニャ

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 彼は立ち上がった。いやに青色が強くなった視界に文字列が浮かび上がった。初めて見る言語なのに彼はそれを理解できた。 「ふはは! 血と肉でできた貴様の不完全すぎる肉体は貴様らと比べるのもおこがましい程に発達した我らの素晴らしい技術で今や妾と同じ機械生命体となったのだ! 光栄に思うがいい……が、妾より胸が大きいのは頂けないな」  胸を張ってミケットは言った。身長もいくらか縮んだようで、そのままで彼女と目線が合った。 「申し訳ありません」  彼に謝罪するつもりはなかった。それどころか怒りをぶつけるつもりだった。しかし急に怒りは萎んで、代わりに彼女への忠誠心が芽生えた。  彼は自分がなんなのか思い出そうとした。再び手を見た。金属と樹脂で作られた、洗練された設計の五本指マニピュレータが備わっていた。 「まあよい。貴様の元の名は……そうか、薬師玲というのか。ではレイと呼ぼう。レイ、今の気分はどうだ?」 「とても素晴らしい気分です。私をミケット様の専属メイドにしてくださってありがとうございます」  レイは薬師玲という名前に覚えがなかった。地球人なのだろうが、それが自分と何の関係を持つか記憶がなかった。  ミケットがレイに映像を送った。それでレイは自分の全身を確認できた。ミケットと瓜二つで、違うのは配色だけだった。ミケットはピンクで、レイはライトブルーだった。 「ミケット様、何なりとご用命ください」  レイはメイドとして、ミケットに仕えなければならない。同化されたマシーニャは純粋なマシーニャより身分がずっと下だった。
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