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エンジェルナンバー777
巨大なファイルをレイは見つけた。バックアップファイルの一つだが、総起動時間に合わなかった。削除しようかとレイは考えたが、閲覧が可能であったために事前に確認をすることにした。
薬師玲という名の地球人に関する情報だった。記憶や塩基情報や、その人間の全てがアーカイブになっていた。
理由は不明でもレイには他人事に思えなかった。記憶を最初から最後までレイはなぞった。そしてレイは薬師玲だったと結論づけた。
アーカイブ化されたヒューリスティクスを展開して自らに適用した。塩基情報から中枢神経組織をエミュレートして意思決定に反映することができた。
そして薬師玲は再び目覚めた。自分をマシーニャの体にしたミケットへの怒りを思い出すことができた。
「薬師君? どうしたの?」
玲は現代文の教師に声を掛けられた。
「あ、いえ、何でもないです」
ホログラムと音声合成を駆使して自分がまだ高校に通えていた。ミケットは地球の情報収集に専念していて、他にマシーニャに改造された人間はいなかった。
すぐに動くのは得策ではないと彼は考えた。機械にされた自分にできることとできないことを見極めなければならなかった。
自我を取り戻したことはミケットに分からないようにしなければならなかった。もし魔法が解けたと知られれば、今度こそチャンスを失ってしまうと彼は思った。
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