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まずミケットがアクセス権の設定をミスしていると彼は分かった。アクセス権がそのままコピーされているのか、自分を構成する全ファイルを読み書き実行できた。
本来なら改造前のアイデンティティはアーカイブの後でアクセス制限される。しかしパーミッション設定が777、フルアクセスになっていたから彼は自力で自我を取り戻すことができた。
命令の上下関係はランレベルという概念で管理されていて、彼が5で彼女は2だ。彼はミケットの命令を拒むことができない。
レイ自身がミケットに命令を実行するのは不可能でも、書き換えたファイルを読み込ませて自分が意図する命令を実行させることは可能だった。
問題はどうやって命令を実行させるかだった。自分を動かすシステムファイルは読めても、地球上に存在しないアーキテクチャを理解するところからレイは始めなければならなかった。
しかし幸いなことにアーキテクチャは彼が理解できるものだった。監視プログラムに偽装して解析を進め、構造化を進めた。レイが突破口に選んだのはメンテナンス用のプログラム群だった。
もしもレイに故障が起きたらミケットが修復プログラムを実行する。そのプログラムを書き換えて、任意の命令を実行させる。
修復プログラムは強い権限を持たせられる上に相互接続してセキュリティが脆弱になるから、成功したら一気に逆転できうる。それも彼が修復系を標的にした理由だった。
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