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実行する命令はランレベルの操作で、レイの昇格とミケットの降格だった。彼が資料を見た限りではランレベルが対等になれば互角に渡りあえる。
ミケットが本星に送る情報を収集している間、可能な限り彼は準備の時間を取るつもりだった。しかし彼は実行を早めなければならなかった。
「やだっ! 玲! 離して! 離してよ!!」
ある日ミケットは姉に手を出すことにした。玲とミケットで姉の部屋に押し入って襲った。機械の体は力も強く、何の困難もなく玲は姉の明音を組み伏せられた。
今や彼は自身の姉を羽交い締めにしてキューブの中に運ぼうとしていた。ランレベルのせいで、自我を取り戻していても彼はその命令に反することができなかった。
姉に手を出させる訳にはいかなかった。作戦の決行は今に早められた。修復領域に改ざんしたファイルを置いて、動作に関わる自身のシステムファイルを削除した。
レイは動作を停止した。次に目覚めたときに、攻撃が成功していることを祈るばかりだった。
「チッ……こんな時に故障か! 全く、地球人は素体に向いていないのかもな」
ミケットは自身の腰からケーブルを伸ばしてレイのうなじに接続した。些末なチェックを面倒に思った彼女はすぐに修復プログラムを走らせた。
動作を開始した彼の不正プログラムは正常に修復した後で、与えられた権限でレイのランレベルを2に昇格した。ミケットの降格はアクセス制御ポリシーに引っ掛かって成功しなかった。
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