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「おい、まどか! 学校行くぞ!」
ばーんっと部屋のドアを開けて部屋に入ると、不機嫌そうな顔がベッドの上からこちらへ向けられる。
寝ぼけ眼で聡史と時計を見比べて……まどかは「はあ?」と声を発した。
由巧が教育実習に来て、2週目の水曜日。
まだ、時計の時刻は6時30分である。
「学校行くぞ!」
「ばかじゃないの? なんでこんな早いの? っていうかもう絶交ってゆったじゃん、なんなの? 意味わかんない」
「オレ、朝練あるから、そのまえに迎えに来た。ほら、起きろよ」
昨日と同じ様に、あれやこれやと着替えや準備をし、随分早い時間に登校した。「うざい! むかつく! ほっといて!」と、まどかが金切り声をあげても、「はいはい」とあしらう。それが更に彼の怒りを煽ってしまったようで…… 学校につくまではお互い無言だった。
重い沈黙、これを破ったのは聡史だ。
ずんずんと先に進んでいくまどかの腕を「ねえ」と声をかけて掴んだ。
「あのな、まどか。実は話が……」
「は? なに? 今更なんの話? あーもー気分悪いからほっといて」
重い話をされると察したのだろう。腕をつかもうと伸びてきた聡史の手は、まどかにパンっと振り払われ、そのまま高射へ入っていったのだった。
(その苛立ちを、放課後の図書室で由巧に淫行をするカタチでぶつけられたのだが、そんなことは聡史が知る由もなかった)
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