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聡史が登校時に迎えに来た理由は簡単である。
まどかと仲直りがしたかった、ただそれだけだ。
喧嘩をしてからというものの、まどかは酷く冷たかった。
廊下ですれ違っても視線を逸らされるし、
休み時間にまどかの教室を訪れると、大きな舌打ちをされたあげく、教室から出て行ってしまうのだ。まどかに用事がなくて、他の友人に会いに行ってるだけなのに、この態度は酷い。
結局聡史は、登校前にまどかの家に突撃し、強行突破で仲直りしようと、その作戦以外考えられなくなっていた。
放課後もまた、聡史はまどかの教室を訪れた。
仲直りの為に一緒に帰ろうと思い立ち、部活も休んだのだ。
しかし、もうまどかの姿は教室になく……
他のクラスメイトに教えられて、聡史は図書室へ向かう。
そこで出会った噂の教育実習生が、すごくいい人で……騙されかけた。
聡史が「大人ってみんなケダモノなんだな」と思った出来事である。
「つうわけで、迎えにきたぞ、まどか! 学校行くぞ!」
翌日、由巧が教育実習に来て、2週目の木曜日。
時計の時刻は6時30分である。
「……はあ?」
ばーんっと部屋のドアを開けて部屋に入ると、不機嫌そうな顔がベッドの上からこちらへ向けられる。
寝ぼけ眼で聡史と時計を見比べて……そして昨日と同じ状況であることにイラっとされながら、昨日と同じ様に、あれやこれやと着替えや準備をし、まどかと今日も、随分早い時間に登校したのであった。
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