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……おかしい。
なにか、おかしい。
由巧は、再び時計を見上げながら首を傾げた。
あれから15分経ったが、まどかに変化が見られない。
「むぅぅ、いみわかんない……」と頬を膨らましながら勉強に集中しているまどかの邪魔をしてしまっているようで、少し罪悪感があるが……なぜ、変化が起こらない?
あの量では効かないのだろうか。
そもそも、あのパッケージに騙されただけで、実はジョークアイテムだったのだろうか。確認したいが、まさか本人の前でパッケージを開けるわけにはいかないし……。
そうモンモンと考えていると、まどかが由巧の服の裾を引っ張った。
「ねえ、ジュースおかわり」
「え、はやいね」
「僕トイレ借りるから、おかわりちょーだい。先生もあとちょっとだし飲んじゃいなよ」
「……あ、う、うん」
そう促されて、残り僅かだったジュースを飲み干した。
てってって、と軽快にトイレに向かうまどかを見て、ああ、ウチの間取りを良く把握してるなあ、と思った。
(そりゃあ、由詩と付き合ってるんだから、ウチにも良く来ていたんだろうけれど)
複雑な心境になりながら、よいしょと立ち上がると……
「……ッ!!」
クラ……、と立ち眩みに襲われた。
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