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ぼふんっ、と真後ろにあったベッドに仰向けに身体を落として、目元と抑えた。起立性低血圧か……こんな立ち眩みは久々だ。
と、思っているのもつかの間……すぐにその変化は起きた。
カーーーッと血が沸騰したように熱くなる感覚と、同時に、羽根でくすぐられているようなゾワゾワが、由巧の全身を襲ったのだ。
ベッドシーツが擦れるだけで、身体が震える。
何が起こったのか、分からないまま動けないでいると、まどかがトイレから戻ってきた。その片手にはオレンジジュースのペットボトルを持っている。
「あれれー? どうしたの、先生。具合悪いの?」
「あっ、ん、ちょっと、たちくらみ、して……」
「えー?! 大丈夫? 看病してあげなきゃ。お薬飲む?」
まどかはそう言って、白い顆粒の入った袋をひらりとこちらに見せた。
それは由巧がまどかのオレンジジュースに仕込んだもので……あまりにも驚いた由巧は、「はあっ?!」と心の底から声を上げた。
「えっへへー、キッチンに置きっぱなしだったよ、ゆーまセンセー。詰めが甘いなあ。これ、なんのお薬かなぁ?」
「そっ……それは……」
「ま、飲ませてみればわかるよね。さ、ゆーまセンセー、お薬の時間でぇす。お口開けてくださいねー」
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