26.裏庭から菜園へ

2/6
1281人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
「広いんだね、お庭」 「菜園は塀向こうだけど、一部は塀の中なんだよ。俺んとこのコカトリスは中だけど」 「魔物だから?」 「そ。特性を抑えてるからって、無闇に放し飼い出来ねーしな? と言っても、旦那様の部下さん家まで結構距離あるし、他にお屋敷とかねーけど」 「特性……って、石化の光?」 「お、さっすが元冒険者。そうそう、何世代前とかに術をかけたのがそのまま移るんだけどよ? それでも、勢いすげーのは攻撃力高いからさ」  覚える事がいっぱいありそう。  前世云々はともかく、特殊な錬金術が使える事は伝え済み。それで、パンに野菜が必要なのも納得してもらえてはいる。  だから、歩きながらも途中で止まったりして、サイラ君が教えてくれるのを覚える事に。  持ち歩きボールペンとかがないから、全部記憶して覚えなきゃいけないんでちょっと大変。 「よぉ、サイラ。新しく出来た同僚に教えてんのか?」 「久しぶりだからってヘマすんなよ?」 「お、ロティちゃんじゃん! よっ」 『でっふぅ~!』 「ヘマなんてしねーよ!」  塀中の農地に近づくにつれ、人が増えてきた。  ほとんどの人が、サイラ君と似た作業着を着てる人ばかり。  私も軽くお辞儀しながら挨拶すれば、お兄さんおじさんの皆さんも軽く手を振ってくれた。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!