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2.恩人との出会い、と食事
短いが、艶のあるスミレ色の髪。
同色の切れ長の瞳。
薄くも形の良さそうな唇。
健康そうに日焼けした肌なのに、ほっぺを撫でてくる手はタコがあってもすべすべ。
そして、それらを活かすかってくらい男前過ぎる顔と体格。
さっきも思ったが、乙女ゲームか神絵師様の美麗イラストから抜けて出てきたんじゃないか?ってくらいのイケメン度。
冒険者として、この世界をそこそこ巡ってきた中でも、こんな大層な美男子様はいなかった。
ちなみに異世界なら、って美形率の多いエルフとやらは残念ながらこの二年でちらりともお見かけしていない。
が、目の前にいらっしゃる命の恩人らしい旦那様とやらは、私に声を掛けてからほっぺを撫でてると同時にずっと見つめてくるばかり。
「……体温も安定。血色も落ち着いてる上に、皮膚の状態も悪くはない。完治には近いが、怪我の具合もあるからまだ安静は必要だな」
どうやら、触診のようなのをされてた模様。
別に魔法医者さんはいるらしいが、この旦那様も医学を心得ているのか的確な診断をされている。
全部言い終わると、旦那様はやっと私のほっぺから手を離してくれました。
(し、ししし、心臓、ばっくばくだよぉ??)
千里の記憶の中ではテレビや雑誌などのメディア媒体。チャロナの現在ではごく普通のイケメン部類としか出会ったことはない。
だから、離れたとは言え、まだ部屋にいるおっとこ前で美の象徴とも思えるほどの男性に、まさか触られるとは思わなかった。
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