3.ナビゲーターシステム

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「もうちょっと具体的に教えてもらえる? 君の名前とか」 『ないれふ。自分はご主人様の、チャロナ様だけが使える『幸福の錬金術(ハッピークッキング)』のナビゲーターシステムでふ』 「え、え?」 『ご主人様の前世で言うところの、車のナビと似たモノと思ってくださいでふ!』 「う、っわ、車なつかし! 私免許なかったけど……うん、わかる。つまり、AI?」 『でふでふ。ただし、意思はこの世界の精霊と同じと思ってくだしゃい』 「じゃあ、一種の契約精霊?」 『でふ!』  ただそれが、錬金術と何が関係あるのか。  不思議な存在って事は、この世界がファンタジーそのものなのと魔法、モンスター、精霊が存在するのですんなり受け入れられる。  だから、好奇心がどんどん湧いて来て、お腹に受けた痛みなんてすぐにどっかに行ってしまった。 「君が言ってた、その錬金術ってなぁに?」 『ご主人様が作った『食べ物』で相手を幸せに出来る錬金術でふ!』 「…………もしかして、生産?でも、料理?」  まさか、一から作るわけではないよなぁと思って聞けば、妖精ちゃんは小さな首を強く縦に振った。 『でふ! もし、ご主人様自身が家庭菜園で生み出した食材を使えば、食べしゃせた相手に文字通り『口福(こうふく)』を与えられまふ!』 「…………それって、美味しい食べ物なら普通じゃないの?」 『違いまふ! 【枯渇の悪食(あくじき)】から300年経った今、ご主人様の前世の知識、現世の知識を組み合わせれば最高のご馳走が作れまふ! 特にパン!』 「パン!?」  メイミーさんが言いかけた、パンの製造口伝の間違いや過去最大規模の飢饉の伝説。  孤児院にいた頃、教訓の一つとしてマザー達から聞いたことがあった。 「400年前、そこから100年にも渡って世界中に広まった飢饉。文字通り、食べるものがそれこそ土まで及んで人々は狂いに狂って食の有り難みを忘れかけた。そして、天から恵みを受け取ったものの口伝は途絶えかけ、元のレシピの大半が失ったとされる?」 『でふでふ! その中でも主食のパンやお米は間違った調理法として定着しちゃってるんでふ! 再現が可能なのは、異世界の知識を持ったご主人様だけでふ!』 「……ほんとに?」
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