0.まず抜けさせられた

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 *・*・*  二日前のことだった。  私が、パーティーの雑用をいつものようにこなしているとリーダーのマシュランに呼ばれたのは。 「チャロナ、今少しいいか?」 「なぁに? マシュラン」  雑用はいつもの事。  レベルは悪くなくとも、不適正なのかポーションがうまく作れない私にとって、料理や洗濯はいつもの事。  その日も、野営地で炊事をしてる途中だった。 「…………その、非常に言いにくいのだが」  労いとは違う、決断に満ちた言葉。  それだけで、私はある事を理解した。そう思ってから、鍋をかき回してたおたまの手を止める。 「……なんとなく、言いたいことわかるよ」  私がそう言えば、マシュランから息を飲む音が聞こえる。  もうほぼ、答えに近かった。  だから、私は何も言わずに彼の言葉を待つ。 「…………すまない。パーティーのためだ」  見ずともわかる。  そよ風よりすこ強い風の流れを受けたことで、マシュランが私に向かって初めて腰を深く折った事を。 「……明日、でもいい? 最低限の身支度はしたいから」  拒否権がなくとも、それだけはしたかった。  さすがのマシュランもそれだけは頷いてくれ、私は翌日いくらかの謝礼金のようなのを渡されてから、二年は在籍してたパーティーを抜ける形になったのだ。 「皆、笑ってくれたらよかったのに……」  だいぶ離れた森の中に着いてから、私は彼らの別れ際を思い返した。  どのメンバーも、結局はリーダーのマシュランも、皆泣きそうな顔をしていたのだ。  パーティーとしての連携、同行などを考慮すれば、二年もほぼ雑用係だった弱過ぎる錬金術師など役立たずに等しい。  それを、家政婦のように身の回りの世話がなんとか出来るから、居させてくれた。  でも、それも時間が経てば考えは変わってくる。
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