55.なんて事!(マックス視点)

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「カイルは、シュラからの言伝だけを伝えたって言うけど」  なんか重要なのあったかしら?と、何故かすぐに思い出せない。  国の王子からのお願い事(・・・・)を、奴からも護衛として任命されたあたしが聞きもらすはずがない。  今はちょっとだけパニックになってるから、きっと思い出せないだけだ。 『ご~しゅ~じ~ん~しゃ~ま~~~~ぁああああ!』 『お待たせでやんす、マスター!』  振り返ろうとした時に、壁をすり抜ける技能(スキル)を駆使したのか息切れたレイと号泣してるロティちゃんのご登場。  ロティちゃんは、レイが到着したと同時にまたがってた背中から飛び上がり……あろうことか、一応気絶してるチーちゃんに突撃していく! 「ちょ、ロティちゃん!」 『えっぐいでやんすね……』  同じ?精霊のレイですらそう思える突撃。  あたしにもしそうするとしても、一大事以外では到底甘える態度すらして来ないのだ。それはお互いの信頼関係があるから大丈夫。  だけど、他人事とは言っても、あそこまで主人の安否を気遣う方法はあんまり見たことがない。  肝心のチーちゃんは一瞬変なうめき声が上がったが、今度は声すら聞こえなくなってしまった。 『ありぇ~? ご主人様ぁご主人様ぁ』  ゆさゆさ揺さぶっても、フォローしようがないわロティちゃん! 『ダメっすよ、ロティ。いきなり腹パンの勢いで頭突きしたら、余計に起きないって』  って、うちの契約精霊は自分が先輩だからって、何正直言ってんだ! 「馬鹿正直に言う奴があるか!」 『い゛で!』  制裁どころではない。  ロティちゃんは号泣以上に感情が揺れてしまうと、爆音を響かせるとチーちゃんは言っていた。  ここでそれが起こっては、いくらチーちゃんが起きたところで収拾がつくとは思えない!  なんとしても回避せねば、とロティちゃんに振り返るも。
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