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「カイルは、シュラからの言伝だけを伝えたって言うけど」
なんか重要なのあったかしら?と、何故かすぐに思い出せない。
国の王子からのお願い事を、奴からも護衛として任命されたあたしが聞きもらすはずがない。
今はちょっとだけパニックになってるから、きっと思い出せないだけだ。
『ご~しゅ~じ~ん~しゃ~ま~~~~ぁああああ!』
『お待たせでやんす、マスター!』
振り返ろうとした時に、壁をすり抜ける技能を駆使したのか息切れたレイと号泣してるロティちゃんのご登場。
ロティちゃんは、レイが到着したと同時にまたがってた背中から飛び上がり……あろうことか、一応気絶してるチーちゃんに突撃していく!
「ちょ、ロティちゃん!」
『えっぐいでやんすね……』
同じ?精霊のレイですらそう思える突撃。
あたしにもしそうするとしても、一大事以外では到底甘える態度すらして来ないのだ。それはお互いの信頼関係があるから大丈夫。
だけど、他人事とは言っても、あそこまで主人の安否を気遣う方法はあんまり見たことがない。
肝心のチーちゃんは一瞬変なうめき声が上がったが、今度は声すら聞こえなくなってしまった。
『ありぇ~? ご主人様ぁご主人様ぁ』
ゆさゆさ揺さぶっても、フォローしようがないわロティちゃん!
『ダメっすよ、ロティ。いきなり腹パンの勢いで頭突きしたら、余計に起きないって』
って、うちの契約精霊は自分が先輩だからって、何正直言ってんだ!
「馬鹿正直に言う奴があるか!」
『い゛で!』
制裁どころではない。
ロティちゃんは号泣以上に感情が揺れてしまうと、爆音を響かせるとチーちゃんは言っていた。
ここでそれが起こっては、いくらチーちゃんが起きたところで収拾がつくとは思えない!
なんとしても回避せねば、とロティちゃんに振り返るも。
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