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「体調……? あ、そか。カイル様の部屋で倒れて」
『ロティが起こしたんでふ!』
『二重の意味で……やんすけどね』
『言わないおやくちょくで~ふぅ~』
『いひゃいいひゃい、ろふぃ、いひゃい~』
我慢してたら、外野が随分と面白い事になってしまってた。
ロティちゃんは、人型になったレイのほっぺを面白そうにむにむに可愛い手で引っ張ってるし。そのレイは痛いと言っても本気の痛みじゃないから平気そうにしてるし。
逆にこっちが冷静になれる感じになってきたので、二人は置いといてチーちゃんの方に近づいた。
「頭痛とか吐き気とかない?」
「ううん? あれは、私がびっくりし過ぎて倒れちゃっただけだし」
「何よ。カイルからシュラの言伝言っただけって聞いたけど、それだけで?」
「そ、そりゃ驚くよ! 職業は悠花さんと違っても、いきなりランクSSになれるなんて思わないから!」
「あ」
たしかに、シュラがついでに肩書きつけちゃえのノリで言ってた気がする。
それよりも、枯渇の悪食についての隠蔽事実が衝撃的過ぎて、まだチーちゃんには全部言えないとあーだこーだ言いまくってたもの。
この反応を見るに、カイルもそこは秘匿させておいたようだ。熱でうっかり口を滑らせてしまえば……で、お仕置きはレクターが全部してくれてるはずだからいいけど。
「そうね、そこは言い忘れてたわ」
「早く言ってよ! もうびっくりしてびっくりして息止まったかと思ったんだから!」
「事実、あと一歩で止まってたわね。SSランクくらい安いもんよ、チーちゃん。幸福の錬金術はこの世界唯一なんだから、本来ならURくらいついてもおかしくないんだから」
「わからなくもないけど、わ、わわわ、私にそんな価値ないぃい!」
「あーるーわーよ!」
慌て出すのを無理やり軽いデコピンで落ち着かせ、あたしの方を見るように少しだけ顔を近づけた。
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