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「あたしも、カイルも。この世界でパンが大っ嫌いだったのに、あんたのお陰で好きになれたのよ? まだまだあんただけが作れるものでも、本来あるべき世界になるためには……あんたが必要なんだから」
そんな重荷を、ほとんど一人で背負わせてしまうのに変わりない。
この世界では王女様である事を知らないまま、孤児で育ったので日本人の性質と相まって余計に謙虚なとこがある。
パン作りの技術を誇ってもいいのに、一切ひけらかさずの真摯に伝授してくれるのも、この世界じゃ希少価値なのに。
ただの、一人の冒険者だった女の子でしかない態度はしばらく改めるのは無理だろう。だから、自信を持たせる事からだ。
「あ、そうそう。あたしも冒険者しばらく休業してあんたの専属護衛に任命されたのよ。シュラから」
「え、悠花さんまで冒険者やめるの??」
「や・す・む、だけよ。大物討伐の時はいなくなるくらいだから」
元々金は有り余るくらい持ってたし、チーちゃんを探す以外はのんびりひとり旅を続けたりこの屋敷に来てただけだ。
その生活を完全に変えようにも、今の肩書きはそこそこ重い。
カイルのように、今のところ爵位を持つ身ではないから完全に引退は冒険者ギルドが許してくれないのよね。
「それと、チーちゃん。カイルとは誤解解けたの?」
「…………そう言えば、なんで気まずいの知ってたの?」
お互いに質問し合ったのに、それぞれ一度吹いてしまったが、まずはチーちゃんから答えてくれた。
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