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「かっこよかったよ」
頬を赤らめた彼女は、俺の顔を見ずにそう言う。
「3Pシュート決めてたの、凄く良かった」
黒髪から覗く堂々とした茶色の瞳は、強い信念を持っているように見える。俺は肩ベルトを強く握りしめた。
「3秒前にシュートされて逆転負けしたけど、かっこいいって思う?」
「思うよ」
彼女の凛とした真っ直ぐの瞳が俺を見つめる。即答だった。
放課後の夕焼けに照らされた彼女は、髪の毛1本1本から泥で汚れたスニーカーまで、全てが逆光に包まれて眩しかった。
「……俺さ、体育大会のバスケで優勝したら、好きな人に告白するって決めてたんだ」
「うん、知ってる。この前聞いた」
「告白なんて初めてだから、無理に高い目標まで定めて。結局決勝にすら行けないなんて、バカみたいだなぁなんて……」
誤魔化して笑おうとしても、上手く笑えない。上ずった声しか出なかった。しばらくの間、沈黙が訪れる。
―――本当に、バカみたいだよな。
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