月の少年

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私には両親にも内緒にしていることがある。 時は家族が寝静まった真夜中。 ベッドから抜け出して大きな音を立てないように窓から脱出する。 屋根の上を歩くのは不安で怖いけれどバレるよりはマシ。 近くの塀に乗り移って持っていた赤いサンダルを履く。 静まり返った住宅街は誰も私のことなんか知らない。 電灯だけがチラチラと照らす。 大きな月が見降ろした道路の真ん中を歩くのはとても解放感に満ちている。 自然とスキップしたくなってリズムに乗って進む。
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