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数日後の放課後。
こちらは神央学園野球部の部室。その場所には現在、バッテリーを除く部員たちがいる。夏の甲子園も終わり、今日からは二年生がチームの軸となって活躍するのだ。
「そうそう、テニス部にむちゃくちゃ可愛い娘がおるんやて」
おもむろに安西が話し出す。安西は野球部の中でも一番良く喋る気のいい奴だ。もともと中学まで関西にすんでいたらしく、今でも関西弁が抜けないらしい。
「あ、普通科の子だろ。入学した時から話題になっていたな」
「体育科にはあまりそんな話が回ってこないのに良く知ってるな。でも、会ってみたいよなぁ、その子に」
女子の話題とあってみんな口々に騒ぎ出した。
「でも、最近彼氏が出来たみたいだぞ。みんながっかりしていたな」
誰かの一言で、一同黙ってしまった。
『ガチャ』
そこへ神央学園高校野球部のバッテリー、ピッチャーの前園啓とキャッチャーでキャプテンの佐竹透哉が入ってきた。
「どうしたの、みんな」
いつもはにぎやかな部室が静まりかえっているので透哉が声を掛ける。
「可愛い子がいるって話。モテモテのお前達には興味ないだろ?」
内藤が冷ややかな視線で二人を見る。内藤はそれなりのイケメンで女子に人気がある。
「まぁ、僕は。前園……もなさそうだね」
佐竹は『可愛い子』の話に表情一つ変えない、隣に立つ前園啓の顔を一瞥する。
「ああ興味ない」
表情一つ変えず、前園啓は言い切った。
(やっぱり……)
その場に居た一同全員が、同じ感想を持った。
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