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「何それ。そんな人現れるかなぁ……だいたい『心を揺さぶるような人』って、どれだけ抽象的なのよ。王子様系とか、ワイルド系とかさぁ。壁ドンされたいとか、癒されたいとかさ。理想のタイプとか憧れのシチュエーションとか、この子にはないのかねぇ」
親友を心配する涼子をよそに、黒板横にある掛け時計を見た楓はあっと声をあげる。
「あっ、もうこんな時間だ。私、図書室に行かなきゃ」
「最近よく行くね」
「やりかけのレポートを仕上げたいんだ。読みたい本もあるし。じゃ、また明日ね」
「いってらっしゃーい」
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