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彼と彼と彼女の出会い②
翌日、部活が終わると透哉は前園に声を掛けた。
「昨日言ってた彼女、あとで紹介するよ。今日一緒に帰る約束したから」
「そうか」
少し嬉しそうな前園を見て、透哉はくすっと笑った。
「なんだ?」
前園は怪訝そうな顔をする。
「えっ、いや、前園でもそんな顔するんだなって思って。ごめん」
ロッカールームで着替えをすませて、二人で外に出た。
「あ、いたいた。おーい、こっち」
透哉が辺りを見て、遙か向こうにいる人物に手を振る。その人物もこちらに気がついて走って来た。人物の顔が特定出来る距離になった時、前園は思わず息を呑んだ。
近づいて来たのはあの日見た『彼女』だった。体育祭の日、校庭で見た彼女が制服を着て目の前に立っていた。動揺している前園に気づかず、透哉が口を開いた。
「紹介するね。僕の彼女『飛鳥 楓』さん」
「はじめまして、飛鳥楓です。前園啓くんだよね。私、一度会ってみたかったんだ」
楓が前園を見てにっこりと笑う。途端に前園の心拍数が上がった。
「え、俺にか」
「いつも透哉から話は聞いてて。前園くんってすごいピッチャーなんでしょ?」
「そうなんだよ、前園は神央のナンバーワンピッチャーだよ」
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