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ここは男子のみのプリクラはお断り!じゃないんだな。あわよくば葵を女装させてみたいなのも考えていたんだけど、必要なかったか。
しかしなぁ。この中に7人入るのは相当狭い。礼央とかうちのトイレより狭いぞ的な顔してるもん。一般家庭のトイレでも大体はこれより広いわ。
「狭いですし、俺は外で待ってますね。皆さんで撮ってください」
「え」
「え、ダメかな…?」
「大津クンが抜けるくらいなら俺が抜けるよ」
「今日の主役はお前だろ」
礼央の指摘にぐうの音も出ない。
でも主役は主役だけど、今日のメインディッシュはイケメンに囲まれる葵の写真を入手することって決めてるしなぁ。
もうこれは、運に任せるしかないか…!
「ジャンケンで3人と4人で分けよう」
「そうだな、このままだと埒があかない」
光輝先輩の賛同も得て、握り拳を前に突き出す。それに倣って皆も拳を突き出してきた。
これで葵・礼央・光輝先輩プラスアルファ(俺以外)であれば相当旨い展開だ。イケメンに囲まれる葵、じゅるり。
「じゃーんけーん!」
結果、俺・光輝先輩・迫田さんと葵・礼央・瀬良さん・勝海さんに分かれた。んー、惜しいけど美味しいから全然OK!
それぞれ別のプリクラに入り、完成品を見せ合うことになった。早速中に入り、機械を操作していく。俺も初めてだから、使い方がいまいち分からない。
「これ…でいいのかな」
「分からない。とりあえず一番人気を選んでおけばいいか」
「隼人ちゃんが分かんないなら誰も分かんないよ〜」
指示通りに操作していき、なんとか進めて写真を撮る工程に入った。
1回目は全員真顔で証明写真みたいになった。撮る回数を重ねていくうちに俺と迫田さんがノリに乗って、俺達を真似する光輝先輩の写真が複数撮れた。
「ふぃ〜、楽しかったね〜」
「調子乗っちゃいましたねー」
「どういう生活をしていたら、そんなにポーズが決められるんだ」
迫田さんはどうか知らないけど、俺の場合は毎回俺を撮る時にポーズ指定してくる両親のせいでポージングのバリエーションが豊富になったよ。
写真を数枚選び、適当にデコっていく。うわ、世の女子ってこんなのに金使ってんのか。つか目が恐ろしいくらいにデカいし、キラキラしてる。そんな補正しなくても俺は美人です。
「はい、光輝先輩も何か描いてください」
「む…」
光輝先輩にペンを渡し、俺は後ろに移る。何を描くのか後ろから覗き込んでいると、おもむろにペンを動かし始めた。
えーと、なになに…?
「電車で来た……え?」
「初電車記念だ」
「光輝くん、電車気に入ったんだね〜」
そんなチャリで来たみたいに書かなくても…。
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