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「隼人くん、準備出来たかしら?」
「うん。今から行くね」
綺麗に着飾っているであろう母様に返事をし、手鏡で最終確認してから自室を出る。うん、今日も今日とて美人だよ!
玄関で待つ両親のベタ褒めをあしらいつつ、車に乗り込む。黙ってれば2人共超美形なのに。
「隼人は神宮寺の御子息と仲が良いのか?」
「んー、多分?よく話すし、最近は神宮寺サンと遊びに行ったよ」
父様と母様と駄弁りながら窓の外を眺める。シャッター音がうるさいが、それは我慢しよう。
パシャッ
ジーッ、パシャッ
パシャシャシャシャシャシャシャ…
「連写はやめて。うるさい」
「今の隼人くんは今しか居ないのよ!」
「その通りだ。隼人の成長を見届け、記録していくのが親の務めだ」
「秒で俺は大した進化はしません!」
なんとかこの両親の暴走を抑えなければ、精神的疲労が蓄積されてしまう。それはいただけない。
んー、どうしようか。いっそのこと家族写真でも撮ろうか。
「父様、母様。俺と一緒に写真撮ろ?」
「隼人ちゃん待ってそのポーズから動かないで!」
「小首を傾げている隼人可愛い!」
「……俺と写るの、嫌?」
「「すぐ撮ろう‼︎」」
家族写真撮りました。両親は泣いて喜んでいた。母様、化粧崩れるぞ。
神宮寺邸に到着し、神宮寺の使用人に案内された通りに進む。流石神宮寺と言うべきか、調度品が品良く多数飾ってある。清掃も行き届いており、大変素晴らしい。
そう、今日は神宮寺主催のパーティーなのだ。
両親に続いて、神宮寺の招待客達に挨拶する。ぜひ私の娘を宇都宮の御子息に…とかいう話が必ず飛び出してくる。その度に両親の威圧感が増すものだから、相手方は冷や汗を垂れ流している。
「隼人様、今回のパーティーは参加されているのですね!私、隼人様にお渡ししたい物がありますの!」
……誰?
適当に会話してプレゼントを渡すと、ご令嬢は優雅に一礼して両親であろう2人の所に向かっていった。
プレゼントの中身を見て、すぐ目を逸らしてうちの使用人に預けた。
あれが、噂に聞く華園のご令嬢か…。
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