1.数時間前の俺をぶん殴らせろ

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「っしゃ!全ルート攻略完了!」  コントローラーを片手にぐぐっと背伸びする。  さてさて今は何時かなぁ~?  机の上に置いてあるデジタル時計に目をやる。えーと、AM4:12って表示されてないか?気のせいか?  目をこすってから再度目をそちらにやる。あ、間違いなくAM4:12だ。あ、今AM4:13になった。  やっべえ!明日普通に平日!違う、今日だわ!ついでに英語の小テストあるから!詰んだ!グッバイ、俺の睡眠時間!  コントローラーを机の上に置き、慌てて通学カバンの中から教科書、ノート、筆箱を取り出す。  そして俺は一睡もせずに、朝日を浴びることとなった。  完徹の目に朝日が沁みるぜ。自業自得だけど。 「ちょっと、アンタ隈酷いけどまたゲームやり込んでたわけ?」 「今回は勉強もしてたから完徹。笑うなら笑えよ」 「HAHAHA!…これで満足?」 「うっざ!我が姉ながら非常にうざい!」  姉と戯れながらぼんやり朝のニュースを眺めていると、いつの間にか遅刻ギリギリの時間になっていた。慌ててカバンをひっ掴み、家の玄関から飛び出す。  今日ほど自分の行動を恨んだことはないよね。  注意力散漫状態の俺は、赤信号で横断歩道に飛び出して大型車両に轢かれました。これ、運転手さんが罪に問われるんだよな。ほぼ俺が悪いのに申し訳ねえ。  こうして、俺の短い人生は幕を閉じたのだった。  待って、今気付いたけど俺、パジャマで家から飛び出してたわ。うわー、恥ずかしい。
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