10987人が本棚に入れています
本棚に追加
瀬良さんと迫田さんと親交を深めつつ、楽しく会議を終えた。お茶請けの煎餅が旨かった。
会議が終わった瞬間光輝先輩は風紀委員室に戻っていったが、生徒会との親交を深めるよう光輝先輩からのお達しで俺はまだのんびりくつろいでいる。
俺御用達のヒダ製菓の飴を舌の上で転がす。今日は悪鬼を追い払う味(桃味)だ。
「うっつー、それ…何?」
「書記サンも飴食べます?」
「ん、貰う」
勝海さんに万能薬な果物味(蜜柑味)を与えた。小袋を破ってぽいっと真上に飴を放り投げ、見事に口でキャッチする。
「おおー、書記サンやるぅ」
「ふんす」
勝海さんはかーわええなぁ。夏弥みを感じるな。癒されるぜ。
「礼央きゅんは失恋の味かにゃあ…」
「何だその味…」
「バナナ。どっかの国のことわざに失恋したらバナナの皮を食べろってあるじゃん?」
礼央は呆れたように笑いながら、俺が放った飴をキャッチした。さす礼央だわ。
礼央が近付いてきて、俺の肩を引き寄せてきた。思わず体が硬直する。
「ありがとな、宇都宮」
「っ、アンタ、誰」
「神宮寺だ!」
ああああああ‼︎照れるなんて柄じゃねえ‼︎素直にお礼言ってくる礼央がレアすぎて照れちまった!
「じゃ、俺帰るね」
「おう、じゃあな」
仲良くなった生徒会メンバーに手を振って、帰るために車を手配する。
新歓イベも近いし、ノートを見返しておくか。制裁イベは結局誰ルートに入ったのか分からなかったし、進捗状況が分からない。まあ、耀から葵へ向けての矢印が出てるのは確認してるんだけど。
家に到着して、早速ノートを見返す。
「新歓は…と、これか」
えーと、あー…。夏弥と初接触が新歓か。なんだか微妙な気持ちになるな…。俺の癒しが俺の苦手な葵に取られるのは少し悔しいかも…んー、これが嫉妬?
あー、ダメだ。全然読めないし、読む気になれない。耀が葵に取られるのは全然平気なのに結弦や礼央、そして夏弥までもが取られるとなると…ちょっと、その。
「こんなの、俺らしくない」
最初のコメントを投稿しよう!