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「改めて、入学おめでとう。入学してから1ヶ月以上経ったがそろそろ学園生活に慣れてきた頃か?今日は俺達生徒会主催で新入生歓迎会を開かせてもらった」
などと礼央がつらつらと述べており。今回も入学式同様に途中から聞くのを諦めた。だって面白くないんだもーん。
そんな俺に気付いたのか、隣の光輝先輩がバレないくらい小さく笑っていた。最近イケメン耐性がついてきたので前よりは動揺しません。
ハイハイ、テライケメン!うん、平然といられないな!無理だ!
「次は風紀委員長からです」
「風紀からは手短に話させてもらう。風紀を乱さず、節度を守って楽しんでくれ」
長々と話す礼央と対照的に手短すぎるレベルに簡潔な光輝先輩だった。2人の話の長さを足して2で割ったらちょうどいいのでは?
「続いて副風紀委員長からもお願いします」
へ、聞いてないよ⁈昨日、そんな話無かったじゃん!
あれか、新人いびりってヤツか!流石瀬良さん、あの礼央を尻に敷けるわけだ。
「俺も同じく1年生だから一緒に楽しもうか!先輩達も俺達1年生にどんどん話しかけてやってくださーい」
にっこり隼人くんスマイルをお見舞いして、さっさと席に戻る。なんか入学式より酷くね?式前に教えてくれたのに、今回は文を考える余裕も無かった。
これが孔明の罠…?違うか。
席に戻ってちらっと壇下を見ると、俺と目が合った生徒が顔を真っ赤に染めた。え、隼人くん視線だけで1人落としちゃったの?
視線をうろうろさせて目的の夏弥を確認する。まだ葵とは接触していないみたいだ。
夏弥と目が合い小さく首を傾げると、夏弥が口パクで「頑張れ」って言ってくれた。好き。
長々とした開催式が終わり、テーブルにたくさんの料理が並べられていく。パーティーに慣れているお坊っちゃん達ばかりだから、それを見ても騒ぐようなことはしない。
数少ない一般家庭育ちの葵はやたらそわそわしていて悪目立ちしている。周りの坊っちゃん達がクスクス笑っている。
あ、耀が葵を窘めている。癪だが、今回のはナイスプレイだったと褒めてやろう。
「それでは、パーティーの開催です」
瀬良さんがそう宣言すると、そこら中から拍手と歓声が上がった。
「生徒会の皆様と風紀委員長様、副委員長様はこちらのお料理を手配させていただきました」
生徒達がざわざわとしながら料理を取り皿に持っていくのを眺めていると、シェフ数人が俺達のテーブルに料理を運んできた。
あ、神宮寺に仕えてるシェフか。神宮寺家の家紋が刺繍されたエプロンを身に付けている。神宮寺の料理は旨いから好きだ。
「光輝先輩、食べてもいい?」
「ああ、遠慮なく戴くことにしよう」
早速前菜のサラダをつつく。
む、むむむ…これは!
「旨いっ!」
「当然だ、我が神宮寺の誇る料理人だからな」
「シェフ、シェフを呼んでくれ!」
「話を聞け!」
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