3.来たれ新歓!滾れよ若人!

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「隼人!」 「あ、夏弥。はい、あーん」 「あーん」  ケーキを少しずつつついていると、俺を見つけたらしい夏弥が駆け寄ってきた。俺の食べきれなかったケーキを夏弥の口に放り込む。  うん、旨そうに食ってる。可愛いなぁ。 「大津クンと仲良くなれた?」 「うん、僕と勉強の話を対等に出来る人は初めてだったよ」 「そっか、大津クン頭良いしね」 「でも、僕の一番の親友は隼人だよ」  にっこり微笑みかけられて、思わず目を見開いてしまう。  バレてたのか。動作とか表情には気を遣っていたのだが、長年の付き合いでバレてしまったのか?恥ずかしいと思う反面、少し嬉しいのも事実だ。 「俺も、夏弥が一番の親友だ」 「うん、知ってるよ」  夏弥と笑い合って友情を確かめていると、俺の背後に突っ立っていた礼央が咳払いをした。夏弥はハッとした表情になり、礼央に対してぺこりと頭を下げた。 「俺を差し置いて談笑とはな」 「申し訳ございません、神宮寺様」 「俺様ムーブやめろ!」 「(ツゥ)っ!」  夏弥につっかかろうとする礼央の脳天にチョップをきめて、礼央を沈静化する。親友の夏弥を守るのもまた親友である俺の役目だ。  夏弥はあわあわしながらも礼央の心配をしている。俺のせいだけど、夏弥の優しさプライスレス! 「宇都宮ァ!」 「礼央きゅん、次あそこ行こ!ドリンクバー!夏弥、俺達他の所行くから。パーティー、楽しんでくれ」 「うん、隼人も楽しんでね」  夏弥に手を振って、礼央の腕を掴んでドリンクバーへ移動する。甘い物を食べたから、コーヒーか何かで口の中をリセットしたい。  礼央は不機嫌そうに俺を睨みながらも、大人しく俺に振り回されている。なんだかんだ礼央は優しい。 「礼央きゅん、おすすめのコーヒーは?」 「これだ。我が神宮寺でも愛用している豆だ。芳醇な香りが素晴らしい」 「宇都宮はこっち。これ、コクがいいんだ。どっちの豆が好みか飲み比べしない?」 「ほう、いいだろう」  バリスタに2つのコーヒーを淹れてもらい、先に飲み慣れた自分の方を飲む。うん、いつも通り旨い。  礼央とカップを交換し、コーヒーを口に含む。 「…どっちか選んだ?」 「これは相当難しいが……こっちだな」 「じゃあ俺の合図で好みだったカップを指差して。せーの!」  俺、神宮寺愛用の豆。礼央、宇都宮愛用の豆。 「どっちも旨いんだけど、今の気分的にはこっちみたいな?」 「同意見だ。神宮寺愛用の豆が不味いわけがないが、今はコクを楽しみたい気分だった」  宇都宮vs神宮寺のコーヒー対決、引き分け。
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