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動かない身体と訊き取れる意識がもどかしい。「やめ、てくれ・・・」「大丈夫よ、侑也さん。私に任せて。」彼女の言葉に迷いはない。俺が妻と子どもに縛られて苦しんでいると思い込んでいる。
「子どもは、柔らかい。だからすぐに死んじゃうわ。」「やめて・・・子どもはっ。」「人のモノに手を出すからよ。私がどれだけ彼を支援してきたと思ってるの?今の彼があるのは、私のおかげなの。だから素直に居なくなったら許してあげたのに・・・私たちの邪魔をするから。」「やめろ・・・っ」「すぐに済むわ。」彼女の声は、冷静だった。
そして妻の悲鳴が響いた。俺には、声だけが訊こえる。起きてることを見ることが出来ない。
「あぁ・・・どうして。こんなの酷い。」妻の泣き声が響く。俺の所為で子どもたちが・・・妻の泣き声が響いている。「大丈夫よ~すぐにママも逝くからね~」彼女の迷いのない言葉が届く。
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