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女が親切心で〝お手伝い〟をしているのではない。アイツは、忘れている。酷い仕打ちをしたこと。
女がそれを忘れはしないこと。
アイツは、なにも判っていない。だから教えたおとにみるみるうちに青ざめた。
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俺は、話しを訊いて自分がどれだけ最低だったかを思い知った。俺が倖せを見付け人生をやり直していた頃〝財布〟と呼んでいた彼女は、全てを失っていた。
俺は、なにもかもを忘れていた。彼女に逢ったとき気が付かなかった。なにひとつ彼女は、変わっていなかった・・・・・・らしい。本当に俺は、金だけの女だと思ってたんだ。
「早く、帰って来て。」そう電話があったのは、結婚記念日の昼過ぎだった。怯えた声だった。すぐに彼女が動いたのだと気が付いた。
慌てて家に帰ると死んだように眠っている子どもたちを抱き締める妻と彼女が居た。
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