少しの罪悪感とキスの雨

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女子高校生の『○○先生カッコイイ』というのは、大半が身近にいる働く大人の男が数倍増しで素敵に見えてキャーキャー言ってるような軽いもの。 本気で恋をする生徒は少ないだろう。 水野先生の生徒と付き合ってるっていう噂だって本当かどうかわからない。 水野先生ファンの生徒が、先生お仲良く話している女子生徒を見て『もしかして…』と思って友達に話したら、尾ひれはひれついて『○○が水野先生と付き合ってる』となった可能性のが高い。 今時本当に生徒と付き合ってるのがバレたりしたら 職を失うだけじゃなく、ネットなんかに名前やら顔が載って大変なことになるだろう。 本当に生徒付き合っているなら、噂になどならないようにするだろう。 とはいえ、生徒と付き合ってる先生が0とは言わない。 少なからずいるというのは、私自身が良く知っている。 何故なら、私の両親が教師と元生徒なのだ。 新米の美術教師で美術部顧問の父と、美術の成績が優秀で美術部員だった母。 綺麗な絵を描き良く笑う母から目が離せなくなった父と、新米でいっぱいいっぱいながら頑張って教える父が可愛く見えた母。 お互い引かれ合い自然と付き合うようになった両親は、母が卒業するまでの2年間誰にもバレないように関係を隠し続けたらしい。 窓の外が暗くなり始め生徒たちの姿がほとんどなくなった頃、私は1人今は使われていない空き教室の隅で膝を抱えながら座っていた。 そして当時の両親はどんな感じだったのかと考えていた。 今現在もラブラブな2人だから、お互いの関係を隠すのは大変だったんじゃないだろうか。 ガラッ 小さくドアが開く音が聞こえ、音のした方を見た。 「何笑ってるの?」 付き合い初めの両親を想像していた私は、無意識に笑顔になっていたらしい。 声をかけてきた人物は私をそっと抱き寄せ、腕の中に閉じ込めた。 「あぁ~、今日も1日が長かったぁ~。ずっと抱きしめたかったよ、美漓。」 「恭ちゃん、痛いよ。」 私を抱きしめて頬擦りしている人物。 『恭ちゃん』こと、諏訪恭一郎先生。 実は私も先生と付き合っている、数少ない生徒の1人だったりする。 ただ私と恭ちゃんは、両親とは少し違う。 私達は私が高校生になる前から付き合っている。
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