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「家って…。美漓の家には先生と美香(みか)がいるし、俺の家に連れてったって母さんが美香に連絡するし、全然落ち着かない。」
美香とは私の母で、恭ちゃんのお母さんと母方の祖母と母はとても仲良しなのだ。
仲が良すぎていろんなことが筒抜けなのは、少し困るところだけど…。
だから恭ちゃんは最近私の家にも来なければ、自宅にも連れていってくれないのだ。
「ここは家より落ち着くの?」
「う~ん、落ち着くってのは違うけど…。美漓はここで会うの、嫌?」
頬を優しく撫でながら、少し悲しそうな顔をして首をかしげる恭ちゃん。
その表情はずるいと思う。
「嫌じゃないけど、心配なの。誰かに見つかったら、恭ちゃん大変なことになっちゃうんだよ。」
「俺がそんなへますると思う?」
今度は意地悪な笑みを浮かべて、私の顎を持ち上げた。
そして軽いキスを落とした。
「ちょ、恭ちゃんっ!」
「美漓はまだ俺のことわかってないんだね。」
「へ?」
「ここだから良いんだよ?」
「は?」
「ここだからこそ、こういうことするとすっごく興奮するんだ。」
そう言って、今度は深い深いキスをされた。
逃げようにも後頭部と腰をしっかり押さえられているため、逃げられない。
漏れそうになる声を必死に堪えていると上手く息が出来なくて、酸欠になって何も考えられなくなっていく。
唇が離れると、口から大きく息を吸い肩で呼吸した。
そんな私の姿を満足そうな笑みで見つめると、耳元に口を寄せてくる。
「ね、興奮したでしょ?見つかるかもしれないっていう、スリルが良いんだよ。」
妙に色っぽく耳元で囁かれると、体が甘く震えた。
「キスだけじゃなくって、もっといろんなことがしたいんだ。もっともっと…、凄いこと、しちゃう?」
「ん……。」
耳にキスをされて、思わず声が漏れた。
そして恭ちゃんの言葉に頭がパンク寸前の私は、顔を真っ赤にして口をパクパクすることしか出来なかった。
そんな私を見て、また恭ちゃんは意地悪な笑みを浮かべる。
今度は大人の色気みたいなのも混ざってる気がした。
親指で私の唇に触れて遊ぶ。
「なぁに想像したの?美漓はいやらしいな子だなぁ~。凄く俺好みに育ってくれてるね。」
満足そうな笑みに、私は何も言えないのだった。
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