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「今度、ニューヨークで個展開くことになったんだ」 いくら疎い僕でも、それがどんなにすごいことかは分かった。 喜びを告げる前に君が続ける。 「すごく色々考えちゃって、スランプで、いいもの全然出来なくて、でもタイムリミットは迫ってる。」 君は自嘲するような表情を浮かべる。 僕の記憶の中で、そんな顔をする君はいなかった。 「でも、初めて自分の絵を見て感動してくれた人がいたことを思い出したの。自分の絵で誰かを感動させたいと思った原点」 君は、そう言って、僕を指差した。 「は?え?え?」 何を言っているのか、意味が分からなかった。 「え?覚えてないの?」 君は、動揺する僕を見て驚いた顔をして、すぐに笑顔になった。 「初めて話したときを思い出してよ」 初めて? 僕は記憶を手繰り寄せる。 「ほら、文化祭で…」
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