2人が本棚に入れています
本棚に追加
昨日の夜、中々寝付けなかった僕は何度も寝がえりをうっていた。窓の外から見える満月は不気味なほど綺麗に輝いている。寝付けなかったわけではない、眠りたくなかったのだ。
きっと今日は嫌な夢を見る。目を瞑るのが怖くて満月と対峙する。だが徐々に意識は遠のいていき、やがて夢の中へ消えていった。
僕の前に現れた、あいつはおどけた口調で話しかけてくる。
「お、久しぶりだな。俊樹。一カ月ぶりか?」
「久しぶりじゃないよ。僕はお前に会いたくなんてなかったさ」
冷たくあしらってもあいつは僕の周りをうろうろとしている。
「まあまあ怒るなって。しょうがないじゃないか。これはお前の運命なんだ、怒るなら運の悪かった自分を怒れよ」
スタスタと歩いていく僕の後ろを追随してくる。周りは真っ暗であいつと僕の所にだけスポットライトが当たっており丸い円を描いて光っていた。
毎回思うのだがどこぞの映画の主人公だなと笑ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!